ナイル川中流域遺跡群
2023年11月、数十年ぶりのエジプト、
前回見逃し今回もひとりで行くには交通費が高いと懸念していた遺跡にも同行者を得て到達
エジプトはナイルの賜物の言葉通り都市も遺跡もナイル川に沿って発展してきた
ここではエジプト最南端のアブ・シンベルからアスワン、ルクソールを経てアビドスまでの遺跡を掲載(古代エジプトの首都であり多数の遺跡がある
ルクソールは別ページ)
*神殿等の名称:同じ神殿でも地名で呼ばれたり祀られている神の名で呼ばれたりするが、ここでは地名を優先しカッコ内に神の名を併記した
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アブ・シンベル ☆☆☆☆
スーダン国境に近いエジプト最南端にある巨大な岩窟神殿
アスワンハイダムを建設する際に水没してしまうこととなり、ユネスコの旗振りで国際的プロジェクトとして高台に移築された
神殿自体も他に類をみない貴重なものだが、神殿が掘られた岩山全体をブロックに切り分けて60mも高い場所に移築したことに驚く
このプロジェクトの成功をきっかけのひとつとして世界遺産の制度が成立したとされる
アブ・シンベル大神殿 ☆☆☆☆
紀元前1,300年頃の古代エジプト新王国時代第19世ラムセス2世が造った巨大な岩窟神殿
正面に彫られた高さ20mほどの4体の巨大石像や内部の列柱に刻まれた像はいずれもラムセス2世を模したもの
アブ・シンベル小神殿
ラムセス2世が王妃ネフェルタリのために建造した岩窟神殿。大神殿の隣の岩山に掘られている
音と光のショー ☆☆☆
アブ・シンベルの両神殿を舞台にライトアップと映像のショーが行われる
派手なプロジェクション・マッピングを想像していたが、予想に反し古代エジプトの歴史を語るモノトーンに近い地味な構成で逆に好印象
夜間のショーは夕方に終了する通常の公開とは別物で神殿の中には入れないがショーのあとしばらくは近くで見学可能
アスワン ☆☆☆
エジプト南部ヌビア地方の中心都市。アブ・シンベルをはじめナイル川上流域の観光拠点
ファルーカと呼ばれる小さな帆掛け船が浮かぶ風光明媚な大観光地だが、富裕層観光客向け施設以外のインフラは未整備や老朽化が目立つ
エレファンィネ島 ☆☆
アスワンの街と向き合ってナイル川に浮かぶ島。北部は高級ホテルが立地するが、史跡は南側にあローカルの渡し舟で渡る
ナイル川の水位を測ったナイロメターやクヌム神殿の遺構、博物館等があるがいずれも整備されているとは言い難い
ナイロメター
クヌム神殿
フィラエ(イシス)神殿 ☆☆☆☆
豊穣の女神イシス神がハヤブサの頭を持つホルス神を産んだとされる聖なる島フィラエ島に神殿があったが、アスワンハイダム建設時に水没から救うため現在のアギルキア島へ移された
創建は紀元前8世紀のファラオの時代に遡るとされるが現在の神殿はプトレマイオス朝(紀元前3〜同1世紀)に建てられたもの
イシス神殿
巨大な門と列柱、誕生殿や至聖所(聖域、サンクチュアリ)には美しいレリーフが残る
トラヤヌスのキオスク |
ハトホル神殿 |
アウグストゥスの礼拝堂 |
コム・オンボ神殿 ☆☆☆☆
プトレマイオス朝時代、紀元前2世紀頃に建てられた神殿
ホルス神と頭部がワニのセベク神の2柱の神を祀り、左右対称の構造を持つため二重神殿と呼ばれる
エドフ(ホルス)神殿 ☆☆☆
プトレマイオス朝時代紀元前3世紀頃に建てられたホルスの神殿
巨大な塔門と2つの列柱室は保存状態がよく、至聖所には珍しい聖船(写真下段左)が残る。建物内外のレリーフも精緻で美しい
エスナ(クヌム)神殿 ☆☆☆
紀元前3世紀に建てられた神殿。牡羊の頭を持つクヌムとその妻ネイト、2神の子ハクの3神を祀る
周囲より掘り下げられた場所に建つ箱型の小さな神殿が残るのみだが、巨大な柱と壁面の鮮やかな色彩は他の遺跡と比べても出色
デンデラ(ハトホル)神殿 ☆☆☆
元々の起源は中王国時代にまで遡るとされる大神殿複合体。ハトホル神殿は複層構造の大きな建物で地下から屋上まで見学できる
現在のハトホル神殿は紀元1世紀のローマ時代のもので神殿背面の壁にはクレオパトラのレリーフ(写真下段中)が残る
アビドス遺跡 ☆☆☆
アビドスは冥界の神オシリス神復活の地とされる聖地。新王国時代のファラオ・セティ1世、ラムセス2世の葬祭殿が残る
ルクソールの宿で車をチャーターして行ったが距離があるうえ、観光の車が通れる道が制限されているため時間がかかる
セティ1世葬祭殿
紀元前13世紀、古代エジプト新王国時代第19王朝に建てられた神殿
通常ひとつの神殿にひとつしかない至聖所が7つあり、それぞれに美しい壁画が残る
至聖所
ラムセス2世葬祭殿
ラムセス2世はセティ1世の息子でアブ・シンベルやルクソール等エジプト各地で巨大建造物を造った大ファラオ
今でも色鮮やかな壁画が屋外の壁にも見られるが元々は屋根のある屋内にあったもの