Quinary - 第五紀

おわら風の盆


おわら風の盆

坂の町の細い街路を哀愁漂う胡弓の調べに乗って踊り手が静かに踊り歩く。300年以上の歴史を持つとされるが現在の形となったのは大正から昭和にかけてと比較的新しく、特徴である胡弓が取り入れられたのもこの頃。踊り手は男女ともに未婚の25歳以下の地元の若者達で、八尾(やつお)地区の11の町がそれぞれに継承している。踊りは蛍狩りを表現していると言われる優美で艶やかな「女踊り(四季踊り)」、所作が大きく勇壮な「男踊り(かかし踊り)」、農作業の所作を表すという「豊年踊り」の3種類があり、地方(じかた、奏者)とともに練り歩く町流し、地方を中心にして踊る輪踊り、演舞場等で踊る舞台踊りとして踊られる。また、お花(お祝い金)をいただいた家に対するお礼としてその家の前で「花受け」と呼ばれる踊りを踊ることもある。期間中は小さな街に膨大な数の見物客があふれ、宿泊や交通手段の確保が困難になるほど(2008)


おわら保存会11支部

おわら風の盆の踊りは八尾の11の町の保存会で継承されており、踊り方は各町それぞれに特徴があって興味深い。女性は浴衣、男性は股引きに法被姿でともに足袋を履き、成人は編み笠を深くかぶる点は各町で同じだが、浴衣はデザインや色がそれぞれに異りいずれも情緒豊か。踊りは公式には23:00頃に一旦終了するが、日付が変わるころからそこここの町で地方や踊りの流しが行われ深夜に至ることもある(2014)

東新町 ☆☆☆☆

坂の一番上にあたる町で、この町の少女だけが早乙女衣装をまとって踊る

西新町 ☆☆☆☆☆

「花受け」で女性が艶やかなポーズを決める様が優美。周囲からそれを囃す掛け声が飛ぶ

諏訪町 ☆☆☆☆☆

日本の道100選に選ばれた情緒ある通りを流す町流しの人気が高い

上新町 ☆☆☆☆

道幅が広く22:00以降には観光客も参加できる輪踊りが行われる

鏡町 ☆☆☆☆☆

他の町とは異なり「おたや階段」と呼ばれる石段の下の広場でのみ踊られる。石段に座って鑑賞できるが人気が高く常に混雑

東町 ☆☆☆

成人と子供で浴衣が異なる支部は多いが、東町は成人の浴衣にも複数のパターンがあって華やか

西町 ☆☆☆

旦那町として栄えたエリアで土蔵造りの家々や風情のある酒蔵や旅館が残る

今町 ☆☆☆

風の盆の踊りが現在の形となった頃のスタイルを受け継いでいる。笠を外しているのは夜中過ぎの写真

下新町 ☆☆☆

朱色の艶やかな浴衣が特徴的。町流しの他に町内の八幡社を舞台としても踊られる

天満町 ☆☆☆

人の流れから少し外れるため比較的空いている。天満宮前で踊る際はなぜか天満宮を背にして踊る。最終日は笠を外して踊っていた

福島 ☆☆☆

JR駅に近く、駅横に設けられたステージでも踊りが見られる。夜通し見物した観光客を見送るためJRの始発にあわせ「見送りおわら」が踊られる

街角