Quinary - 第五紀

お遍路


2014年3月、四国八十八カ所霊場を巡礼してきました

この巡礼路はそのむかし弘法大師空海が定めたとされる日本の代表的な巡礼路であり、一般に「お遍路」と言えばこれを指す
本来修行であるお遍路では各お寺をめぐり、納経(般若心経他を唱える)し納札(おさめふだ)を納める

たまたまこの年は四国八十八カ所霊場開創1200年にあたり、多くのお寺で特別に開帳された秘仏等を拝観するとともに、通常のお姿(御影、本尊の肖像が描かれた小さなお札)とともに開創1200年の記念のお姿をいただくことができた

道中は車で回ったが都合11日間、走行距離1,600kmを超える長丁場で、中でも山深い場所にあるいくつかのお寺は車といえども辿り着くのが大変なところもある
時間もさることながら費用もかかり、特に「歩き遍路」となると1ヶ月以上を要し宿泊日数が増えるぶん負担も大きい
現代においては精神的・体力的には勿論、経済的にも大変な「修行」かもしれない

なお、基本的に本堂、大師堂の内部は撮影禁止のため写真は外観が主です


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発心の道場 阿波国 徳島県

第1番札所 竺和山 一乗院 霊山寺

本尊:釈迦如来
始まりの寺らしく街道沿いにあり規模も比較的大きい。一番札所という位置づけや厳かな名前の割には親しみやすいお寺。
売店では遍路用品を揃えることができ初心者には遍路の作法なども教えてくれる。

第2番札所 日照山 無量寿院 極楽寺

本尊:阿弥陀如来
仁王門をくぐると手入れのされた庭が広がりその奥に弘法大師お手植えとされる杉の巨木が立つ。本堂、大師堂はそこから石段を登った森の中。

第3番札所 亀光山 釈迦院 金泉寺

本尊:釈迦如来
大きな朱色の仁王門を抜けるとごくらく橋と名付けられた朱色の欄干の小橋を渡り右手にはこれまた朱色の八角堂と一見神社のよう。本堂の屋根が大きく立派。

第4番札所 黒厳山 遍照院 大日寺

本尊:大日如来
朱塗りの山門は2階が鐘楼。本堂と大師堂を結ぶ廻廊で仏画等が公開されていた。渓流沿いの立地だが護岸されていて風情の面では残念。

第5番札所 無尽山 荘厳院 地蔵寺

本尊:勝軍地蔵菩薩
本尊の甲冑姿で馬にまたがる勝軍地蔵菩薩は弘法大師が刻んだとされる。また、勝軍地蔵菩薩を本尊とするお寺は四国霊場ではここだけ。但し、その後彫られたた延命地蔵の胎内仏として納められ、拝観できるわけではない。
仁王門抜けると広い境内取り囲むようにお堂が配置され左側に本堂、右側に大師堂。本堂奥には等身大の五百羅漢があるが拝観は有料。

第6番札所 温泉山 瑠璃光院 安楽寺

本尊:薬師如来
仁王門抜けると池の向こうに弘法大師ゆかりのさか松と多宝塔が見える美しい境内に出る。温泉山の山号のとおり、かつてあった温泉が湧く別の場所からは移されたが現在も大師堂前から温泉が湧きだしている。

第7番札所 光明山 蓮華院 十楽寺

本尊:阿弥陀如来
十の光明に輝く楽しみを得られるように名前がつけられたと言う。朱色の鐘楼と木造の愛染堂が乗った2つの白い門を抜けると本堂、さらに少し上がって大師堂がある。

第8番札所 普明山 真光院 熊谷寺

本尊:千手観世音菩薩
駐車場から200mほど道路を下がったところに88カ所最大級の立派な山門、朱色の多宝塔の上には美しく彩色された仁王様の祀られた中門と2つの門を持つ。

第9番札所 正覚山 菩提院 法輪寺

本尊:涅槃釈迦如来
田園地帯の中にある静かなお寺。88カ所霊場唯一と言われる涅槃像がありちょうど開帳していた。意外に大きく等身大以上はある金色の涅槃像。

第10番札所 得度山 灌頂院 切幡寺

本尊:千手観世音菩薩
333段の石段を登った山の中腹にある。弘法大師ゆかりの切り機観音と呼ばれる観音像が祀られている。

第11番札所 金剛山 一乗院 藤井寺

本尊:薬師如来
集落のある谷筋の奥まった場所にあるお寺。弘法大師が境内に藤を植えたとされ4月から5月にかけて咲き誇るという。

第12番札所 摩廬山 正寿院 焼山寺

本尊:虚空蔵菩薩
四国八十八カ所霊場中で最大の難所と言われる。現在でも1車線の九十九折を延々と登ってやっとどりつく深山の趣が深い神秘的なお寺。

第13番札所 大栗山 花蔵院 大日寺

本尊:十一面観世音菩薩
道路わきにあるコンパクトなお寺だが寺の名前と本尊が異なる珍しいお寺。明治時代の神仏分離によって阿波一宮神社にあった十一面観世音菩薩が本尊として移され、それまで祀られていた大日如来を脇仏とした。大きな両手の中に観音像が立つ「しあわせ観音」とよばれる像がある。

第14番札所 盛寿山 延命院 常楽寺

本尊:弥勒菩薩
四国八十八カ所霊場で唯一弥勒菩薩を本尊とする。丘の上に立ち境内に岩を削ったような自然の段差を残す珍しいお寺。

第15番札所 薬王山 金色院 国分寺

本尊:薬師如来
国分寺の名の通りかつては大きなお寺だったが兵火に焼かれて荒廃し江戸時代に再建された際、宗派も曹洞宗に改められた。現在は田舎の集落の中にあるお寺の風情で、かつて聳えていたと言われ七重塔の礎石が物悲しい。

第16番札所 光耀山 千手院 観音寺

本尊:千手観世音菩薩
小さな集落にある小さなお寺。公園のようにオープンな感じで寺域を隔てる境界が奉納の石板。

第17番札所 瑠璃山 真福院 井戸寺

本尊:七仏薬師如来
朱塗りの大きな山門があるお寺。境内も広々としているが本堂は昭和43年火災により焼失、その後再建されたもの。

第18番札所 母養山 宝樹院 恩山寺

本尊:薬師如来
修行中の弘法大師を母の玉依御前が訪ねた寺だと言われ、それなりに規模も大きい。摺袈裟と呼ばれるお守りが有名。

第19番札所 橋池山 摩尼院 立江寺

本尊:延命地蔵菩薩
阿波の関所でもあった大きなお寺。本堂、大師堂はじめ多宝塔等も大きな建造物。

第20番札所 霊鷲山 宝珠院 鶴林寺

本尊:地蔵菩薩
焼山寺に次ぐ難所と言われやはり山奥深くにある、3月半ばというのに小雪が舞っていた。

第21番札所 舎心山 常住院 太龍寺

本尊:虚空蔵菩薩
遍路転がしとも呼ばれる難所は「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」とされ、焼山寺と鶴林寺には細いながらも車の通れる道がついたが、ここにはロープウェイでお参りする人が多い。西の高野とも言われる広大な寺域を持ち荘厳な雰囲気。

第22番札所 白水山 医王院 平等寺

本尊:薬師如来
山深いところから下りてきてやっと平らな場所にあるお寺。とは言え本堂前には石段も。前の2つのお寺と自ずと趣は異なるがそれなりの規模のお寺。

第23番札所 医王山 無量寿院 薬王寺

本尊:厄除薬師如来
海辺の町の小高い山の斜面に建てられたお寺で、本尊からもわかるように厄除けの寺として有名。よく目立つ独特の形をした大きな朱色の塔は真言宗の経典瑜祇(ゆぎ)経の教義を形にしたとされ、瑜祇塔と呼ばれる。


修行の道場 土佐国 高知県

第24番札所 室戸山 明星院 最御崎寺

本尊:虚空蔵菩薩
弘法大師が初めて悟りを開いた地とされる室戸岬の高台に建つ。鬱蒼と茂る森の中に大きなお堂が立ち並ぶ。境内にある鐘石と呼ばれる石は叩くと鐘のような高く響く金属音がし、その音は極楽浄土まで届くと言われる。

第25番札所 宝珠山 真言院 津照寺

本尊:延命地蔵菩薩
鄙びた漁港からすぐの丘にあり、本来は山門から石段の参道を登って本堂に至るのだが改修中。石段脇の大師堂が仮本堂を兼ねていた。

第26番札所 龍頭山 光明院 金剛頂寺

本尊:薬師如来
雰囲気のある仁王門の奥にどっしりとした本堂が建つ。境内に「ガン封じのツバキ」と呼ばれる瘤のある椿が祀られている。

第27番札所 竹林山 地蔵院 神峯寺

本尊:十一面観世音菩薩
海に近くけっして山深いロケーションではないが急こう配の坂道を登る道は最難所と呼ばれる焼山寺にも匹敵する。車で訪れても山門から本堂まで石段が続くが、境内は山の斜面に沿って庭が広がり美しい。

第28番札所 法界山 高照院 大日寺

本尊:大日如来
明治の廃仏毀釈により一時は廃寺となったがその後再興。丘の中腹にも関わらず広々とした境内を持ち、どっしりとした大きな本堂が印象的。

第29番札所 摩尼山 宝蔵院 国分寺

本尊:千手観世音菩薩
由緒ある寺にふさわしく境内は広々としており庭もよく手入れされている。柿葺きの本堂が美しい。酒断地蔵がいかにも土佐の国らしい。

第30番札所 百々山 東明院 善楽寺

本尊:阿弥陀如来
土佐神社の別当寺であったが明治の廃仏毀釈で廃寺となりその後復興した。山門も塀もなく開けた感じはあるものの小ぶりなお寺。

第31番札所 五台山 金色院 竹林寺

本尊:文珠菩薩
土佐藩の庇護を受け発展した荘厳な雰囲気の大きなお寺。本尊を文殊菩薩をとするのも四国八十八カ所霊場で唯一、また、昭和の建築だが五重塔は高知県唯一。

第32番札所 八葉山 求聞持院 禅師峰寺

本尊:十一面観世音菩薩
海路の安全を祈念して海岸に近い丘の上に建てられたた。境内からは土佐湾が一望でき眺望がよい。

第33番札所 高福山 雪蹊寺

本尊:薬師如来
弘法大師の開山だが鎌倉時代以降一時荒廃し、その後臨済宗の寺として再興された。境内は整然とした造りで開けた雰囲気。

第34番札所 本尾山 朱雀院 種間寺

本尊:薬師如来
田園地帯の集落にあるお寺。本堂は開放的で珍しく畳の間が広くとってあり地元のお寺といった感じ。

第35番札所 醫王山 鏡池院 清滝寺

本尊:薬師如来
車道は文旦畑の細道を縫って登り参道の石段を横断して最後は境内が駐車場。境内には大きな薬師如来が立ちその一段上に本堂と大師堂が並ぶ。仁王門は駐車場から参道を下ったところにあり、徒歩で参拝するとこの八丁坂と呼ばれる石段の参道を登る。

第36番札所 独鈷山 伊舎那院 青龍寺

本尊:波切不動明王
細い谷筋に沿った長い石段に三重塔、仁王門、行場の滝と続く閑静なお寺。弘法大師が留学先の唐の青龍寺から投げた独鈷が落ちた地とされ、伽藍の配置等も唐の青龍寺を模した。

第37番札所 藤井山 五智院 岩本寺

本尊:阿弥陀如来、観世音菩薩、不動明王、薬師如来、地蔵菩薩
弘法大師がこの地を訪れた際、仁井田明神のご神体を5つの社に分けそれぞれに本地仏を安置したと伝えられ、そのため本尊が5体ある。本堂は格子天井に奉納された絵が納められており、必ずしも仏教とは関係ない絵も多く独特。

第38番札所 蹉?山 補陀洛院 金剛福寺

本尊:三面千手観世音菩薩
四国最南端の足摺岬にある。前の札所岩本寺からの距離は札所間としては最も長く100km近くもあり徒歩だと3泊4日かかると言われる。広い池や多宝塔のある大きなお寺。

第39番札所 赤亀山 寺山院 延光寺

本尊:薬師如来
国道から少し奥まった山のふもとに位置し海からも離れているが、梵鐘は境内にいた赤い亀が竜宮城から持ち帰ったものとの伝説が残る。


菩提の道場 伊予国 愛媛県

第40番札所 平城山 薬師院 観自在寺

本尊:薬師如来
第1番札所から最も遠いところにあり「四国霊場の裏関所」とも呼ばれる。街中に立地し開けた感じのお寺。寺名は観自在(観世音菩薩)だが本尊は薬師如来。

第41番札所 稲荷山 護国院 龍光寺

本尊:十一面観世音菩薩
本堂と大師堂間を通る参道の石段の先にはなんと赤い鳥居。稲荷神社と交錯する変わったお寺。弘法大師が開いた際は稲荷大明神をを祀っていたが、神仏分離令により旧本堂を稲荷神社の社殿とし新しく本堂を建立、本尊も十一面観音菩薩としたとのこと。手水場の水道が自動栓だった。

第42番札所 一カ山 毘盧舎那院 仏木寺

本尊:大日如来
四国八十八カ所霊場ではここだけだと言われる茅葺の鐘楼が印象的。山号の「カ」は本来は王ヘンに果の字で「カ」だがフォントが存在せず。

第43番札所 源光山 円手院 明石寺

本尊:千手観世音菩薩
源頼朝が堂宇を修復しその際に山号を改めたという。唐破風のどっしりとした屋根を持つ本堂は明治時代のものだが風格がある。

第44番札所 菅生山 大覚院 大寶寺

本尊:十一面観世音菩薩
四国八十八カ所霊場のちょうど半分にあたり「中札所」とも呼ばれる。昼間でも薄暗いほどの杉木立の中に古く大きな仁王門がそびえる。本堂は大きな破風持つ造り、大師堂は新しいらしくモダンな造り。

第45番札所 海岸山 岩屋寺

本尊:不動明王
駐車場から急な坂道と階段を上って10分以上かかる。いかにも修行の地のイメージで寺号の通り大きくそそり立つ岩屋の窪みに本堂が立つ。大師堂の方が大きくしかも高い位置にあるが、2つある本尊のひとつが山に封じられており山全体を本尊とみなすかららしい。また山奥にも関わらず山号は海岸山であるが、弘法大師が朝霧を海にたとえたことによるとのこと。

第46番札所 医王山 養珠院 浄瑠璃寺

本尊:薬師如来
本堂前にソテツが茂りなんとなく南国情緒がある。仏足石はその上に立つて祈念す珍しいもので仏手石や仏手指紋もある。

第47番札所 熊野山 妙見院 八坂寺

本尊:阿弥陀如来
橋門と呼ばれる橋の形をした山門を抜けて境内へ。「極楽の道」と「地獄の道」と名付けられた小さなトンネルがある。

第48番札所 清滝山 安養院 西林寺

本尊:十一面観世音菩薩
小川に面して立つ平地型のお寺。境内は小川の土手よりも低い。お堂が整然と配置され清々しい。

第49番札所 西林山 三蔵院 浄土寺

本尊:釈迦如来
裏山を背にした平地に立地する寺、どっしりとした本堂は国の重要文化財に指定されているとのこと。

第50番札所 東山 瑠璃光院 繁多寺

本尊:薬師如来
松山市中心部東側の池や竹林のあるなだらかな丘に位置し、長閑な風景が望める公園のようなお寺。

第51番札所 熊野山 虚空蔵院 石手寺

本尊:薬師如来
屋根のかかった参道、国宝の仁王門、木立の中に立つお堂の多くも重要文化財、等々、由緒ある大きなお寺。道後温泉からも近く参拝客の多いゆえか雑然とした感じもなきにしもあらず。

第52番札所 龍雲山 護持院 太山寺

本尊:十一面観世音菩薩
駐車場から急な舗装路を数百m登る。開けた場所に立つ重厚な屋根の大きな本堂は鎌倉時代の創建で国宝。寺の縁起では付近の海で海難を免れた長者がそのお礼としてお堂を建てたとされるがお寺自体は海を向いてはいない。

第53番札所 須賀山 正智院 円明寺

本尊:阿弥陀如来
集落の中にある開けた感じのお寺。聖母マリアを彫ったとされるキリシタン灯籠があるがわかり辛い。

第54番札所 近見山 宝鐘院 延命寺

本尊:不動明
奈良時代に行基が開いた当時は別の場所にあったものが幾度かの兵火を受けて江戸時代に現在の場所に移り、さらに明治時代に当初の円明寺から現在の延命寺に改称したという。山門は明治初期に取り壊された今治城から移築した立派なもの。

第55番札所 別宮山 金剛院 南光坊

本尊:大通智勝如来
街の中心部にほど近い大通りに面しているものの境内は騒々しさもなく明るく広々としている。新しく再建された山門は四天王が配された立派なもの。

第56番札所 金輪山 勅王院 泰山寺

本尊:地蔵菩薩
畑の広がる丘の麓、少し高くなった段の上に石垣に囲まれて境内がある。簡素ながら明るいお寺。弘法大師はここで近くを流れる頻繁に氾濫していた川を治めたと伝えられる。鐘楼は今治城の太鼓楼の古材を再利用して造られた。

第57番札所 府頭山 無量寿院 栄福寺

本尊:阿弥陀如来
竹林に囲まれた簡潔なお寺。従前は神仏混合の八幡宮であったが、明治の神仏分離令により分けられ大師堂は山頂から移築された。遍路とは直接関係ないが駐車場から見える演仏堂とよばれる真新しい建物が面白い。

第58番札所 作礼山 千光院 仙遊寺

本尊:千手観世音菩薩
九十九折の坂道の途中に新しい山門があり徒歩ではこれをくぐって進むが、車はそこから更にいくつかカーブを進み本堂近くまで登れる。

第59番札所 金光山 最勝院 国分寺

本尊:薬師如来
伊予の国の国分寺は幾多の災禍を経て今では石門の向こうの広々とした境内に本堂と大師堂が並ぶ簡潔な造り。手水鉢が工事中だった。

第60番札所 石鎚山 福智院 横峰寺

本尊:大日如来
焼山寺に優るとも劣らない山路、しかも有料道路ではあるが普通の林道を延々と登ってやっと辿りつく。地形的な制約から駐車場から境内へはかなり下り、そして帰りは当然登り。境内は広くはないが趣のある深山に本堂と大師堂が佇む。3月も半ばを過ぎていたが境内にはまだ雪が残っていた。

第61番札所 栴檀山 教王院 香園寺

本尊:大日如来
聖徳太子が創建したとされる由緒あるお寺は現在はまるで学校の講堂のような建物(大聖堂)に本堂と大師堂が入っている。境内、寺務所も学校の設備のような風変わりなお寺。安産・子育ての寺として有名で境内には子安大師像がある。

第62番札所 天養山 観音院 宝寿寺

本尊:十一面観世音菩薩
国道とJRの線路に挟まれた小さなお寺。創建当時から川の氾濫により破損・再建を繰り返し、豊臣秀吉の四国征伐で壊滅、廃仏毀釈で廃寺、大正時代には鉄道の開通に伴って今の場所に移される等、苦難の歴史を持つ。今年(2014年)は1200年の記念の年で色付きのお姿(御影、本尊の肖像が描かれた小さなお札)がもらえるのだがここは「霊場会がうちに無断で決めた」とのことで配布せず。

第63番札所 密教山 胎蔵院 吉祥寺

本尊:毘沙門天
四国八十八カ所霊場で唯一毘沙門天を本尊とするお寺。こちらの方がやや広いが宝寿寺とほぼ同様の立地。また豊臣秀吉の四国征伐の際に兵火で全山を失った歴史も同じ。驚いたことに納経所で「前のお寺の分です」と宝寿寺の記念のお姿をくれた。仏教界もいろいろ事情があるのかも。

第64番札所 石鎚山 金色院 前神寺

本尊:阿弥陀如来
平地にあるが背後に鬱蒼とした山を控え荘厳で大きなお寺。本堂は大きな青銅葺きで両脇に境内を囲むような形で回廊があり神社のようにも見えるがそれもそのはず、かつては石鎚山の別当寺であったが廃仏毀釈で一時廃寺となりその後現在の場所に再建された歴史を持つ。

第65番札所 由霊山 慈尊院 三角寺

本尊:十一面観世音菩薩
弘法大師が護摩の秘法を行った際の三角の護摩壇が寺号の由来。現在もその形が三角池に残る。山深い場所にあるが境内は広く清々しい。鐘楼門は仁王門を兼ねるがなぜか左側の仁王様は不在。


涅槃の道場 讃岐国 徳島県

第66番札所 巨鼇山 千手院 雲辺寺

本尊:千手観世音菩薩
四国八十八カ所霊場最高所にあり、訪問時はその名の通り雲の中。ロープウェーを降り500羅漢の小道を下ると山門、本堂は少し離れて左側。大きなお寺だが霧が深いうえに一緒になった先達は早回りをしているようでロープウェーの時間に間に合うように急いでお参りしたため慌ただしく出てしまった。羅漢の小道に香川・徳島県境があり本堂は徳島県だが讃岐・涅槃の道場の最初の札所。

第67番札所 小松尾山 不動光院 大興寺

本尊:薬師如来
かつては天台宗と共存する珍しい寺だったという。大きな仁王様の門を抜けまっすぐな石段を登ると正面に本堂、左に弘法大師堂、右に天台大師堂が配されている。

第68番札所 七宝山 神恵院

本尊:阿弥陀如来
琴弾八幡宮の神宮寺であったが神仏分離令により本尊は観音寺に移された。そのため現在は観音寺と同居する形で境内を共有する。本堂はコンクリート打ちっぱなしの現代的な建物の中に置かれている。

第69番札所 七宝山 観音寺

本尊:聖観世音菩薩
神恵院とは同じ境内にあり本堂・大師堂は別々だが入口となる仁王門はひとつ。階段を上って正面及び右側が観音寺、左側が神恵院となっている。観音寺は本堂、大師堂ともに朱塗り。

第70番札所 七宝山 持宝院 本山寺

本尊:馬頭観世音菩薩
広々とした境内にある重厚な本堂は国宝、その奥には五重塔がある。四国八十八カ所霊場で唯一馬頭観音本尊とする。

第71番札所 剣五山 千手院 弥谷寺

本尊:千手観世音菩薩
下の駐車場から石段を延々と登って大師堂のある境内に。しかし本堂はさらに170段ほども上でお堂の配置も立体的。大師堂は岩壁と一体化したように建てられており開帳中だった大師像の後ろは壁ではなく直に岩肌だった。多宝塔や磨崖仏も見られる。

第72番札所 我拝師山 延命院 曼荼羅寺

本尊:大日如来
平地型のコンパクトなお寺。弘法大師が曼荼羅を安置したことから名前がついたとされる。境内には法大師お手植えとの言い伝えもあった笠松と呼ばれる樹齢1200年の松があったが近年枯死し、その幹に大師を刻んだ笠松大師が祀られている。

第73番札所 我拝師山 求聞持院 出釈迦寺

本尊:釈迦如来
弘法大師が出家を決めたとされる山の麓に建てられたお寺。山頂には奥の院がる。50cmほどの大きな赤珊瑚にその形を生かして仏様を掘った秘仏の珊瑚仏が公開されていた。

第74番札所 医王山 多宝院 甲山寺

本尊:薬師如来
甲山と呼ばれる小高い丘の麓に建てられたお寺。珍しい黒衣のお大師像が開帳されていた。甲山の岩肌の穴には毘沙門堂が置かれている。

第75番札所 五岳山 誕生院 善通寺

本尊:薬師如来
弘法大師が自らが生まれた場所に建てたお寺。非常に規模が大きく東院と西院に分かれ、伽藍とも呼ばれる東院は本堂にあたる金堂や五重塔のある創建当時からの寺域、西院は誕生院とも呼ばれる弘法大師が生まれた佐伯家の邸宅跡で大師堂や大師が生まれたとされる奥伝などがある。

第76番札所 鶏足山 宝幢院 金倉寺

本尊:薬師如来
広い境内に本堂、大師堂が配置されている。参拝順路に沿って七福神の像が置かれているがなんとなくそぐわない気もする。

第77番札所 桑多山 明王院 道隆寺

本尊:薬師如来
大きくはないが開放的な雰囲気お寺。境内に観音様が並び穏やかな感じがする。

第78番札所 仏光山 広徳院 郷照寺

本尊:阿弥陀如来
弘法大師が厄年のときに厄除けの誓願をしたことから厄除けの寺として有名。一遍上人ともゆかりのあるお寺で四国八十八カ所霊場唯一、時宗も奉持する寺。

第79番札所 金華山 高照院 天皇寺

本尊:十一面観世音菩薩
讃岐に流配されこの地で崩御した崇徳上皇の棺がしばらく安置されていお寺。神仏分離令により崇徳天皇寺と天皇寺に分離されたが同じ敷地内にあり入り口は鳥居。入って正面は神社でお寺の本堂と大師堂は向かって左。地元では高照院と呼ばれているようで道路標識も高照院。

第80番札所 白牛山 千手院 国分寺

本尊:十一面千手観世音菩薩
広場に面した仁王門を抜けると四国八十八カ所霊場本尊の石仏が参道に並ぶ。松が多く植えられた境内は広く閑静なお寺。本堂にお参りする際、数珠を失くしたことに気づき前のお寺まで探しに行ったが見つからず、81番、82番と回った後で再度この寺に戻ってみると仁王門前の広場の石垣に誰か見つけて置いておいてくれたのを無事発見。これもご利益か。

第81番札所 綾松山 洞林院 白峯寺

本尊:千手観世音菩薩
海岸からほど近い場所にあるり標高もそれほど高いわけではなが急峻な地形の中にあり深山の雰囲気。石段の両側にお堂や鐘楼が立ち並ぶ静かで趣深い山寺。崇徳上皇はここで荼毘に付され御陵もここに残る。

第82番札所 青峰山 千手院 根香寺

本尊:千手観世音菩薩
仁王門を過ぎると一旦石段を降りて登り返す。本堂には廻廊式の万体観音堂を通って行ったり大師堂が朱塗りだったり独特の風情のあるお寺。

第83番札所 神毫山 大宝院 一宮寺

本尊:聖観世音菩薩
もともとは法相宗の寺を弘法大師が真言宗に改宗したという。讃岐一宮田村神社の別当時であったが、明治の強制的な神仏分離令よりも200年前の江戸時代に高松藩主が神社から分離させたと言う。今も田村神社と隣り合っており田園地帯にある地元のお寺の風情。

第84番札所 南面山 千光院 屋島寺

本尊:十一面千手観世音菩薩
鑑真和上が開いたお寺に弘法大師が伽藍を建立し中興の祖とされる。本堂は朱塗りの立派なもので観光地でもあることから参拝客も多い。駐車場側に新しい門があるが元々の仁王門、四天門は本堂の正面を下がったところにある。

第85番札所 五剣山 観自在院 八栗寺

本尊:聖観世音菩薩
ケーブルウェーで登ると朱塗りの多宝塔、大師堂を通って本堂へ。やはりここも本来の参道からではなく横から境内に入る形になるため、山門は本堂の先。弘法大師が彫ったとされる歓喜天が祀られた聖天堂があり四国八十八カ所霊場では珍しく歓喜天の霊場でもある。

第86番札所 補陀洛山 志度寺

本尊:十一面観世音菩薩
立派な仁王門に朱色の五重塔、大きな本堂とそれにつながる大師堂と規模の大きなお寺。ただ、そういう方針なのか境内はあまり手入れがされていないようにも思えた。

第87番札所 補陀洛山 観音院 長尾寺本

尊:聖観世音菩薩
広々とした境内に本堂と大師堂が並ぶ簡潔だが好ましいお寺。静御前が得度したとの言い伝えがある。仁王門の前にはお経を埋めて納めた上に立てる経憧がある。

第88番札所 医王山 遍照光院 大窪寺

本尊:薬師如来
結願(けちがん)の寺。山奥の高い場所にあるがなだらかな起伏はあるものの険しいお寺ではなく、四国八十八カ所霊場を締めくくるに相応しい穏やかなお寺。駐車場からの門と本堂下の二天門と呼ばれる門の2つの門がある。