Quinary - 第五紀

トルコ


2013年10月から11月にかけてトルコを旅しました
陸路でイランからトルコ東部に入国しそこから西に向かって進んだため、記事も東から西への順です

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ネムルートダーウ周辺

ネムルートダーウ ☆☆☆☆

標高2,000mを超す人里離れた山の頂きに造られた紀元前1世紀頃のコンゲマネ王国アンティオコス王の墓
山頂に瓦礫を積んで円錐形の頂上とし、その東西に神殿とゼウスやアポロン等の神々と並べてアンティオコス王の石像が配置してある
石像は地震で頭部が転げ落ち、まるで土筆のように地面から生えてきたような不思議な遺跡
周辺の街から遠く離れておりツアーもしくは車をチャーターして夕陽、朝陽に合わせて観光するのが一般的

アルサ・メイア ☆☆

コンマゲネ王国の夏の離宮跡、建物の痕跡はほとんどないが石柱やレリーが残る

イェニ・カレ ☆☆

コンマゲネ王国時代の城塞、岩山の頂上に城壁が聳えるが修復中で立ち入り禁止だった
アルサ・メイアの頂上からも見下ろせる

ジェンデレ橋 ☆

西暦200年頃のローマ時代に造られた石の橋、2000年頃まで現役の道路として車が走っていたらしいが特に見るべきものはない

カラクシュ ☆☆

キャフタの街からネムルートダーウへの途中にあるコンマゲネ王国時代(紀元前2〜紀元後1世紀頃)の陵墓
東、西、南に向けて石柱が立ちそれぞれペルシャ、ギリシャ・マケドニア、メソポタミアの方向を向いている


ディヴリィ

ウル・ジャーミィ ☆☆☆

山間の小さな町ディヴリィにある世界遺産のモスク(トルコではイスラム教のモスクをジャーミィと呼ぶ)
ジャーミィ自体は大きくはないが、門に施されたレリーフはイスラムのモスクにしては彫りが深く意匠も独特で見事


カッパドキア

アナトリア高原に広がる世界的に有名な奇岩地帯
火山灰が積もってできた柔らかい凝灰岩の地層が風雨に浸食され峡谷となり、溶岩塊のあった部分が浸食されずに柱状の奇岩となって残った
凝灰岩は掘削しやすく地下都市や洞窟を掘った教会が残る

景観 ☆☆☆☆


ギョレメ野外博物館 ☆☆☆

ギョレメの街から東に約1.5kmの崖に多くの岩窟教会が残されている
洞窟内の壁画は日が当たらないため保存状態がよく、特にカランルク教会の壁画は驚くほど鮮明に残っている(但し撮影不可)
修復されているのだと思うが、イスラムの侵入の際に傷付けられたと思われる顔の部分の剥離はそのままなのでもしかしたら昔のままなのかもしれない

トカル・キリセ ☆

大きさはギョレメで最大の岩窟教会らしいが外観は平凡で、内部の壁画も大きいは大きいがすぐに見られる規模

ギョレメ・パノラマ ☆☆

ギョレメの街からウチヒサル方面へ坂を上ったあたりにあるビュー・ポイント
ピジョン・バレー越しにギョレメの街やカッパドキアの遠景が見られるが、たいそうな名前の割に観光バスの休憩ポイント風でもあり、ギョレメの街中の展望所のほうが奇岩が間近に見らる

パシャヴァー  ☆☆☆☆

ギョレメの北東約4kmのところにある奇岩群、道路沿いの比較的開けた場所にあり観光しやすい

ゼルヴェ野外博物館 ☆☆

ゼルヴェ峡谷沿いに多くの教会や住居跡が残り、幾筋かの谷筋に沿って周回コースが設けられている

ラクダ岩、アシカ、ナポレオンの帽子 ☆☆

アノヴァスとユルギュップを結ぶ道路沿いにあるラクダやアシカの形をした奇岩

三姉妹 ☆

ユルギャップから西に1km強の高台のそばにある奇岩

チャウシンの谷 ☆☆☆☆

ローズ・バレー ☆☆☆

レッド・バレー ☆

ギョレメの東側を南北に走る高台には多くの谷筋があり、トレッキング・コースとなっているローズ・バレーやレッド・バレーはそのうちの一つ
インフォメーションや宿、旅行社等で入手できる簡易な地図は大半が不正確で道端の矢印等も頼りにならないため場所が確認しづらい
唯一、トレッキング・コースに設置されている標識に描かれたルート・マップは正確だが、地図がのある標識は数が少ない
ギョレメの街から北東の方角に見えるバラ色の崖はチャウシンの東側の谷でこの谷が最もバラ色で美しい
ローズ・バレーはチャウシンの町から南東に約2kmの谷筋で小さな教会跡がいくつか残る
レッド・バレーはさらに南側の谷筋だが深い谷の奥から高台に登る道が相当に急で厳しいコースのわりに見どころは少なく、赤い谷の名前がついてはいるものの実際はチョウシンの谷やローズ・バレーのほうが赤く見える

ピジョン・バレー ☆☆

ギョレメの街の西側、ギョレメ・パノラマの丘の東側の谷
糞を集めて肥料にする目的で岩壁に鳩が住めるように穴を掘ったことからピジョン・バレーと呼ばれる
遊歩道がウチヒサルまで通じているので、ウチヒサルまでバス等で行けばずっと下りでギョレメまで帰ってこられる

ラブ・バレー ☆☆☆

ギョレメ・パノラマを隔ててピジョン・バレーの反対側(西側)から北に向けて開けた谷
名前の由来ともなっている奇岩は北側の谷の出口近くに集中しておりウチヒサルに近い南側は特に見るものはない

地下都市

凝灰岩質の地面を掘って造られた文字通りの地下都市、カイマクルとデリンクユの2か所ある

カイマクル ☆☆☆

地下5層までアリの巣のように通路が張り巡らされ2万人が生活したという、デリンクユと比べると小規模だが凝縮された感じ

デリンクユ ☆☆☆

何の変哲もない平坦な土地に唐突に穴を掘って地下都市が造られているといった風情で存在自体が不思議、4万人が暮らしたという
地下8階と規模が大きく整然としており、十字の形に通路を掘った教会や敵の侵入に備えた円盤状の石のドアが印象的


ボアズカレ周辺

ハットゥシャシュ ☆☆

南北約2km、東西約1kmに及ぶヒッタイト王国時代紀元前18世紀頃の城塞都市遺跡
高低差のある広大なエリアに大神殿や城壁、城門等が点在する
ニシャテンベのレリーフ(写真右)は保存状態も良く見事だがライオン門(写真左)やスフィンクス門(写真中)の石像はオリジナルは一部で残念

ヤズルカヤ ☆

紀元前13世紀のヒッタイト王国時代に造られた岩場の神殿遺跡
規模は小さく数点のレリーフが残るのみで劣化も進んでいる


サフランボル

サフランボル ☆☆☆

起伏のある山間にオスマン朝時代の古い町並みが世界遺産に登録されている
緑の多い丘にレンガ色の屋根の家々が並ぶ景観は美しく日本人にも馴染みやすい
特にこれといった見どころがあるわけではないが静かで落ち着いた感じがよい


パムッカレ

パムッカレ(石灰棚) ☆☆☆☆

山の上から湧き出した石灰分を多く含む温泉が斜面に千枚田のような無数の石灰棚を作った
温泉を掘削し過ぎたことが影響してか湧出量が減ったことから現在は計画的にお湯を張る棚田を決めたり、散策路沿いに人為的に石灰棚を作ったりと必ずしも自然のままではないようだが、それでも青空の映りこんだ純白の棚田が広がる様は美しい

ヒエロポリス ☆☆

石灰棚の丘の上にある都市遺跡
円形劇場やアゴラ(市場)、浴場の跡やネクロポリスと呼ばれる墓地が残る


ギリシャ・ローマ遺跡

エフェス ☆☆☆

トルコのみならず世界的にも指折りのギリシャ・ローマ時代の都市遺跡
石畳の道路沿いに大劇場や図書館その他数多くの建築物が並ぶ大規模な遺跡
有名な遺跡だけに次々に観光バスが到着して観光客であふれかえり古代遺跡としての雰囲気には欠ける

プリエネ ☆☆

街路やアゴラが残り街としての原形をとどめた都市遺跡
アテネ神殿にはイオニア式の列柱が並び、劇場も小さいながら保存状態が良い
今は丘の中腹の松林の中にあり日本の城址公園のようだが昔は海岸線がここまできていたらしい

ミレト ☆☆

ギリシャ・ローマ時代のイオニア地方の文化的中心都市
かつてはエーゲ海に面し大いに栄えたと言われるが現在の海岸線は10km以上も離れて廃れてしまい、遺跡には劇場と幾つかの遺構が散在するのみ
バスの便が少なく訪問しづらいわりに見どころは円形劇場程度

ディディム ☆☆☆

かつてはギリシャのデルフォイと並ぶ神託の地であったディディムにローマ時代のアポロン神殿跡が残る
大きな遺跡ではないが立派な基壇とわずか3本だけが残る高さ20mの石柱がかつての威容を忍ばせる

アフロディスィアス ☆☆☆

パムッカレから南西約40kmにあるローマ時代の遺跡
テトラピロンと呼ばれる保存状態の良い門を備えたアフロディーテ神殿や長さ262m、幅59mにもおよぶ巨大なスタジアム等が残る

ベルガマ(アクロポリス) ☆☆☆

ベルガマの街の北東の急峻な丘の上に立つローマ時代の都市遺跡
頂上付近はトラヤヌス神殿の遺構くらいしか見どころはないが、丘の西側斜面を利用したすり鉢状の劇場はトルコで最もこう配が急な劇場で圧巻
観光客の多くはロープウェーから上の遺跡を見て帰っていくが、劇場から降りていく下の遺跡群にはモザイクの床や壁が保存されていたり、デメテルの神殿、ギムナジウム等、上の遺跡群よりも見ごたえがある

アスクレピオン ☆☆

ベルガマの街の中心部から西に丘を登ったところにある古代の療養所の遺跡
参道に続きゼウスの神殿、診療所、地下通路、列柱、劇場などが残る、町から近く手頃な規模だが可もなく不可もなく

トロイ ☆

トロイ戦争の木馬とシュリーマンンの発掘の物語で世界的に有名な古代遺跡
紀元前3000年にはすでに集落があったとされ、多くの年代にわたって積み重ねて都市が建設された複層的な遺跡
但し、シュリーマンが発見したプリアモスの財宝をはじめ発掘品は国外に持ち出されているうえ、見栄えのする構造物もないためこの地を訪れても見るべきものはほとんどない(写真の木馬は遺跡入口(中央)と映画撮影に使われた港(右)のものだがいずれも最近作られたもの)


エディルネ

ギリシャ、ブルガリア国境に近い小都市
オスマン朝の都であった時代に造られた大寺院セミリエ・ジャーミィがある

セリミエ・ジャーミィ ☆☆

ドームの大きさではイスタンブールのアヤソフィアを上回り、トルコの歴史上の偉大な建築家スィナンの最高傑作と言われる
内装は落ち着いた茶系で美しいが、外観はトルコの他のジャーミィ(モスク)同様、ミナーレ(ミナレット)は細くて鋭角的でまるでロケットのようで全体としても素っ気ない

ユチュ・シェレフェリ・ジャーミィ ☆☆

胴体部分が螺旋だったり菱形模様だったりと独特のミナレットのを持つジャーミィ
しかも模様は赤茶に着色されており、鋭角的でそっけないミナーレがほとんどのトルコには珍しい造り


イスタンブール

アジアとヨーロッパを隔てるボスポラス海峡をはさんで両側に市街地が広がるトルコの最大の都市
西暦330年から1922年の約1,600年間、ローマ、ビザンティン、ラテン、オスマンの各帝国の首都であった歴史都市

スルタン・アフメット・ジャーミィ(ブルー・モスク) ☆☆☆

17世紀に建造されたトルコを代表するイスラム寺院であり、青いイズミックタイルで装飾されているため別名ブルー・モスクとも呼ばれる
直径27.5mの大ドーム、4つの副ドーム、30の小ドームを持つ巨大モスク、ミナーレは一般的には4本のところこのジャーミィは6本ある
広場に面しその威容は遠くからも見られるが現役のモスクであり、ドーム内のモザイクやステンドグラスは美しいもののそれ以外に多くの見どころがあるわけではなく、また礼拝の時間にはイスラム教徒以外は入れない

アヤソフィア ☆☆☆

現在の建物はビザンツ帝国時代の537年に建築され、15世紀にビザンツ帝国が滅びるまでギリシャ正教の総本山であったが、その後聖堂はイスラム教のジャーミィとして使用された
その際に聖堂内部の装飾やモザイクは漆喰で塗りつぶされたが、20世紀に発見され現在は博物館として利用されている
巨大なドームの上部にはキリスト教の宗教画が描かれているとともにイスラム教のカリグラフィも掲げられており不思議な雰囲気

トプカプ宮殿 ☆☆☆☆

城壁に囲まれたオスマン朝王家の広大な居城、城壁内にはスルタンの居室や謁見の間、ハレム等が残されている
建築物もさることながら最大の見ものは宝物館の宝石類、ティアドロップ型の世界有数のダイヤモンドや大きなエメラルドがはめ込まれたトプカプの短剣等、ふたつとない宝物が間近に見られるが撮影禁止

地下宮殿 ☆☆☆

4世紀から6世紀に造られたと言われる地下貯水池
コリント様式の柱で支えられまるで宮殿のように見えることから地下宮殿と呼ばれる
ライトアップされ神秘的な雰囲気


セマー ☆☆☆

イスラム教神秘主義教団メヴレヴィー教団が行う祈りの踊り
旋舞と呼ばれ、白いスカートをはいた踊り手(セマーゼン)が民族楽器の伴奏とアザーンのような唄に乗ってゆるやかに旋回しながら舞台を回る
セマーゼンは男性で単に祈りながら静かに旋回するのみであるが神秘的で美しい、夜間に行われる
コンヤがその中心地であるがイスタンブールやカッパドキアでも観覧可能(写真はカッパドキアのサルハン・ケルヴァンサラユ)